龍の養い子

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 十年ぶりに会った兄は、龍の鱗を体に纏っていた。  ごく普通の人間の肌に、うっすらとした虹色の紋様が浮かび上がっている。 「やぁ、久しぶり」  と、背の高くなった兄がにこやか言う。 「……久しぶり、だね」  と、私は泣きそうに震える心で、動揺しながら答える。  二歳違いの兄妹の私たち。  九歳の時に神隠しに遭った兄が、突然家の玄関に現れた。
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