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「開けるか」
爺ちゃんの声に合わせて、扉に手をかける。見た目通り重い開き戸だ。ギギギと大きな音を立てながら扉が開いていく。ちゃんとした扉ならスムーズに開くのだろうが、建ててからかなりの年月が経っている上、そもそもちゃんと作られたものでもないのだろう。見た目はそれっぽいが、要はものが置ければそれで良い、くらいの作りだった。
開いた扉から、ふわっと風が入り、ホコリが少し舞っているのが見えた。それと同時に薄暗い蔵の中はとてもゴチャゴチャとしていることにも気がつく。
ホコリっぽさは多少あるが、カビ臭いということは無かった。蔵というのは、思ったよりも風通しが良い造りなのかもしれない。
「すごいモノの量だね……」
「そうだろうな。使わないものはとにかく放り込んであったしな。……ほれ」
そういいながら爺ちゃんは手前の棚から、黒いものを取りあげた。
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