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「うわぁ懐かしいな」
僕はそれを見るなり声を上げた。自然と声が出るのはしょうがない。黒いそれは、まさしく僕が使っていたランドセルだった。沢山の傷が入りボロボロ、ヨレヨレとした見た目だが、まだ四角いフォルムをしっかり保っている。
「捨てるのも忍びないなと思って、どんどん入れてるんだよな。また仕舞っておこう。……これとかは、もう捨てるか」
そういいながら、爺ちゃんはランドセルを脇に置き、大きな木製の何かを持ち上げている。これは、家の扉か。そういえば、少し前に家のリフォームをしていて、その時に扉のデザインを変えてたんだよな。なんで扉なんてとっておこうと思ったんだろう。
そのあたりをよく見てみると、久しぶりに見るものばかりだ。僕が使っていた勉強机を、バラしたもの。少しカーブしている天板に見覚えがあるものだった。妹の使っていたスキー板とかも、こんな所に入れていたのか。父が使っていたゴルフクラブのケースだとか、外した車のバンパーとかもあった。本当に、何でこんなものを置いておいたんだ……?
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