昔取った杵柄を探して

　爺ちゃんは、当初の臼と杵を探す目的をもう忘れたのか、ゴミみたいなものを見つけ出してドンドン蔵から運び出していた。僕は僕で、とりあえず探してみるか。

「この蔵、どの辺に何を入れてあるかとか分かる？」

「いや、どんどん入れているから分からん」

　だそうだ。このガラクタの山の中から、ヒント無しで臼と杵を探さないといけないらしい。とはいっても、入り口に近いものはここ数年とか、比較的新しいものが置かれているように見える。古くても僕が使っていたランドセルだから、十年も経っていないようなものだ。

　僕は臼と杵を見た覚えはない。物心つく前のものなのだろう。そう思い、爺ちゃんがせっせとものを運び出している入り口ではなく、蔵の奥の方へ進んでいった。