昔取った杵柄を探して

　入り口から離れて、さっきよりも薄暗い場所に立って周りを見まわしてみる。やっぱりそうだ。奥の方は錆びついている電動工具やら、タンスの外側の部分だとか、見慣れないものばかりだった。壺とかもある。実はすごく価値があるものとか、あったりするんじゃないか？

　それにしても、ものが多い。どこかで見た知識だが、人は収納があればあるだけ、ため込んでしまうものらしい。収納が多くなれば、その分だけモノを買ってため込む。だから、こういう蔵があっても、蔵は必ず満タンになるし、そのわりに家の方もスッキリとしているわけではない。

　そんなことを考えながら、それらしいものは無いか見てみる。イメージでは杵はけっこう大きいものだ。だからすぐに見つかると思うけど……。

　目線を下に落とすと、段ボールに入ったものだとか、ビニール袋に覆われたものもある。こうなっていては、一目ではなかなか分かるものではない。そうか、臼とかは食べ物のために使うものだから、ホコリがかからないようにビニールとかでカバーされているのかもしれない。それらしい形のものがないか、足元の方も見ていこう。