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3人で笑っていると、今度は真樹ちゃんが入ってきた。
「やっぱ外はあっつーい。あれ、何を話してたんですかぁ明センパイ、涼太くん」
「ダリと花宮が急に仲良くなった原因は、花宮のコミュ力だって話」
黒崎が答えると、真樹ちゃんはクスクスと笑った。
「分かりますぅ~。奥田センパイって話しづらそうですけど、涼太くんはお話上手ですもんね!」
確かに普段の私は人見知りで、話下手だ。接客中は仕事モードがオンになるため、それは除外。
花宮くんみたいに、職場の人とも仲良く話せる感じも出来たらいいなー、なんて思っていると、真樹ちゃんが私をじっと見ていることに気付いた。
「奥田センパイ、化粧直ししてるんですね。私もしようっと。センパイはどこのメーカー使ってるんですかぁ? 私は資産堂の薔薇シリーズですぅ」
真樹ちゃんのポーチから出てきたものは、赤で統一された綺麗なアイテムの数々だった。誰もが知っている一流のブランドのものだ。
私は化粧品は拘らない人だったので、どこのメーカーとかはあまり気にしていなかった。
「いや、適当に組み合わせて……」
「センパイもご存じだと思うんですけど、薔薇シリーズって、資産堂の中でも超高級で、毎月カツカツなんです。ホントはMIYAHAの化粧品使いたいんですけど、流石に私には似合わないかなって」
「はは……似合うと思うよ」
「え~、そうですかぁ」
真樹ちゃんはまんざらでもない顔をして、ご機嫌で鏡に向かい始めた。
私は時計を確認して、そろそろ戻ろうかと机を片付け始める。
「よっし、午後も頑張ろ」
「はいっす!」
私と花宮くんは外に向かった。
扉を閉める間際には、笑顔で可愛く話しかける真樹ちゃんと、弁当を食べる黒崎が見えた。
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