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私が段ボールを抱えると、黒崎は私の横に並んだ。
「もしかして、今日から来る奴って」
「私」
「まーじかよ」
「何か問題でも」
私は半ギレで言葉を返し、黒崎の案内で部屋に入った。ちょうど9時……セーフか?営業的にはアウトだな。
私が心の中でため息をついていると、奥から紺色のスーツを身に纏った人が近づいてきた。雰囲気的に爽やかで、微笑みが素敵で、声も丁度よく低くて――
「おいダリ」
「ハッ」
「今日から来てくれる奥田さんですね。私は中谷修斗。ここの副店長です」
「お、奥田梨沙です。よろしくおねがいします!」
危なかった。久しぶりに良い人オーラを纏った人を見たものだから、つい現実から離れてしまっていた。
中谷さんは綺麗な歯を見せて言った。
「事前の面談ではお会いできずにすみませんでした」
「いえいえ~副店長さんですし大変ですもんね!」
顔の前でこれでもかと私は手を振った。今度の上司は絶対の絶対大当たりだ。これで裏があるなら私はこの世の中で何を信じて生きていけばいいのか分からない。
私は深々とお辞儀をして、自分の席に物を置いた。
「お前、なんか俺と副店と態度違くないか」
「違くない」
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