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「前に伝えたように、今日からうちで働くことになった奥田さんです」 「奥田梨沙です。よろしくお願いします」  目の前にいる7人がバラバラな拍手を送ってくれた。2人女性がいるし、その点では働きやすそうだ。  明るい茶色でロングの子が手を挙げた。 「はーい! 奥田さんて、何年勤めてるんですか?」 「コイツ、俺と同期だから6年」  私が応えるより早く、黒崎が反応した。なんでお前が言うんだ。  ロングの子はそれを聞いて口を少し尖らせた。 「へえ~……じゃあ奥田センパイですねっ。私、橋本真樹(はしもとまき)って言います! 真樹ちゃんって呼ばれてます~。センパイいろいろ教えてくださいね。しかも、新宿店から来たんですもんね?」 「ええ、はい」  私は適当に口角を上げて返事をした。新宿店、てだけでエリート扱いだ。というか、何で私がそこの出だと知ってるんだろう。……事前に中谷さんが言ったのかな。まあ、特に問題はないけど。  私が席に着いて荷物を整理していると、右隣の黒崎が顔を向けた。 「新宿店っていえば、トキラホームのトップだろ。お前あんなところにいたのか」  黒崎は私の前の職場を知らなかったらしい(それか話を聞いていない。てか多分こっちが濃厚)。もう新宿店のことは思い出したくないのに、ここでも話題にされると何かとキツイ。でも逆の立場だったら、私も話を聞きたがっていただろうな。  私は適当に返事をするのが楽だと判断し、段ボールを畳んだ。 「まあ、ね」 「なんでまたこんな所に」 「……その話は終わり。私、場所の確認してくる」 「ああ、おう」  私は会話を切って太い腕で椅子を終い、部屋の入り口で待っていた人のところへ急いだ。  
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