会えない時間

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「さ、どうぞ」  チーズケーキとコーヒーが出てきた。食べたら、すぐにわかる。ケーキは遥花の手づくりだ。何もかも本物という感じがして、気持ちが一杯になる。 「やっぱり、遥花のケーキが一番だ」 「本当? 嬉しい」  仕事で出会った出来事を話すと、目を輝かせて聞いてくれる。いつも、こんな風に暮らせたらいいのに。  遥花が小さくあくびをした。 「ごめん、退屈だった?」 「ううん、ごめん。広樹がいない間、寝てばかりいるからかな。体内時計が狂ってるみたい」  俺の仕事のせいで遥花に負担をかけているかと思うと申し訳ない。 「今からでも転職しようかな。短距離ドライバーとかどうだろう。それなら、毎日、家に帰れるし」 「うん、そうなったら、嬉しいけど。でも、一週間後の運転、契約済みでしょう。急に辞めたら迷惑じゃない。長距離ドライバーって、不足してるんだから、代わりの人なんて、見つからないでしょう。配達回数が減ったら、僻地の人には死活問題なんだし」  確かにハードな仕事なので高給でも運転手不足は続いている。俺の場合は遥花が待ってくれているからいいけど、結婚となると、恋人に逃げられてしまった人もいる。そうかと思えば、港港に女ありなんて、言い切る同僚もいる。 「人の役に立つ仕事をしている広樹って、すごいと思う。だから、私も頑張れる」 「遥花、本当にありがとう」
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