受け視点

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 アランさんとの出会いを思い出していたら街が見えてきた。俺を連れ出してくれた時から、ずっとアランさんをお慕いしている。必死にアピールしてるのに、いつもかわされちゃうけど。  ギルドの街は魔物に襲われないよう、堀で囲われている。 「飛ぶぞ。舌を噛むなよ」  跳ね橋の前で急浮上し、見張り台にいる守衛の前で止まる。 「アランさん、跳ね橋下ろすの待って下さいよ」 「時間が掛かるだろう。操作する君の仕事も減っていい事ずくめじゃないか」 「上手く魔法が使えないのに、若いのが真似するんですよ。先日、飛んで壁に激突して大怪我した奴もいるんで控えてください」 「……そうか、次からは待つことにする」 「お願いしますよ」  申し訳なさそうにアランさんが眉尻を下げる。  アランさんは手を上げ、俺はペコリと頭を下げて挨拶をすると、内側に着地した。  俺の肩に回っていたアランさんの腕が外される。名残惜しいけど、俺もそっと身体を離す。  いつまででも引っ付いていたかったのに。 「俺は報告に行く。イルは帰っててもいいぞ。疲れているだろう」 「いえ、俺が報告に行くので、アランさんが休んでください」  俺は帰りずっとアランさんに引っ付いていて、疲れなんてない。討伐だけでなく、移動中も魔法を使い続けていたアランさんの方が疲労は多いだろう。 「そうか、それなら一緒に行くか? その後食事して帰ろう。今から作るのも面倒だしな」 「行きます!」  わーい、アランさんとデートだ。嬉しくて腕に飛びつくとすぐに外されてしまう。やっぱり移動の時じゃないと引っ付けないの寂しい。俺ばっかりアランさんの事が大好きで。  ギルドの酒場に着き、受付カウンターで報告を済ませて報酬をもらう。 「アラン、イル、こっちに来い!」  喧騒の中、ギルドマスターのオリヴァーさんが遠くから手招きをしていた。 「どうかしましたか?」 「お疲れ! 飯まだだろう? 俺の奢りだから何でも食え!」  空いている席に座り、メニューを眺める。 「アランは酒に付き合えよ」 「いえ、俺はあまり強くないので。空きっ腹で呑んだらすぐ潰れて帰れなくなります」  アランさんお酒弱いんだ。そういえば飲んでるところ見た事ないかも。 「そうか、いい酒が入ったから振る舞ってやりたかったんだが。それなら持ち帰れ」  オリヴァーさんが料理とお土産の酒を注文してくれる。すぐに料理が提供され、お腹いっぱい掻っ込んだ。  このギルドに来て8年。ここのみんなが俺の新しい家族になった。みんなで騒がしく食事をしていると、俺は恵まれているな、と改めて思う。
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