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埃や汗で汚れていた身体を綺麗に流した。タオルで髪を乾かしながらリビングへ向かう。
アランさんはソファで寛ぎながら、オリヴァーさんから貰ったお酒をグラスに注いでいた。色的にブドウ酒かな?
「イル、おいで」
目を細めて手招きをされ、すぐにソファに飛び乗った。
タオルを取られて、アランさんが俺の髪をわしゃわしゃとかき混ぜる。
うわー! アランさんに髪を乾かしてもらってる!
俺は毎分毎秒アランさんに触れていたいけど、アランさんから触れてくれることなんて滅多にない。タオル越しだけど。
傷の手当てとか移動とか必要に迫られた時だけ。天にも昇る思いでアランさんに身を任せる。
「乾いたか?」
タオルが頭から下ろされ、至近距離で端麗な微笑みを浴び『目が! 目がぁぁ!』と叫び出しそうになった。それ程眩しかった。
「アランさん、ありがとうございます」
タオルを受け取り、片付ける。
「イルも何か飲むか?」
アランさんの晩酌に誘われて、ジュースをグラスに注いでソファに戻る。
「アランさん、カンパーイ!」
「ああ、カンパイ。今日の依頼もイルのおかげで助かった」
「俺なんて全然です。もっと強くなってアランさんの力になりたいです」
「そうか、楽しみにしている」
アランさんは終始笑顔で楽しそうだ。オリヴァーさんからもらったお酒、そんなに美味しいのかな?
美味しいからニコニコしてたのだと思っていたけど、どうやら酔っ払っていたらしい。グラスの酒を半分ほど飲んだ頃、真っ赤な顔をしてソファに背を預けて瞳を閉じた。
お酒弱いって本当だったんだ。アランさんは無敵だと思っていたけど、意外な弱点を見てしまった。
「アランさん、起きてください。こんな所で寝ると身体痛くなるし、風邪引きますよ」
控えめに肩を叩くが、むにゃむにゃ言うだけだった。録音したかった。
アランさんの腕を掴んで肩に回させる。体格差があって運ぶ事は無理だから、自力で歩いてもらうしかない。
「お部屋に行きますよ」
「ん……」
小さく頷くアランさんを支えながら立ち上がった。リビングから出て、アランさんの部屋の前に着く。
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