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最近入らせてもらってなかったから緊張するな。深呼吸をして扉を開けた。
あまり物のない整った部屋だった。ベッドにアランさんを座らせる。コテンと横たわった。
アランさんの部屋を見渡す。この部屋はアランさんの匂いに包まれていて、興奮を隠せない。この空気、袋詰めして持って帰りたい。
「イル……」
鼻にかかったような色っぽい声も上がり、ドキドキと鼓動が速くなる。
「アランさん? どうかしましたか?」
ベッドに手を付いてアランさんの顔を覗き込んだ。
目元を赤く染め、トロンととろけそうな瞳が俺を映す。いつもと違う熱を帯びた視線に硬直した。
俺が動けないでいると、体を支えている腕を掴まれる。触れられた場所が熱い。そこから全身に熱が移ったように火照る。
腕を引かれ、柔らかいベッドに背を受け止められた。驚きすぎて目を見張ることしか出来ない。
アランさんは俺に覆い被さった。滑らかな指が頬を撫でる。
「イル、好きだ。可愛い」
そう繰り返しながら頬擦りされてキャパオーバー。
「あ、アランさん?!」
声を裏返して全身を赤くした。
しばらくされるがままの状態だったけど、アランさんが腕を突っ張って距離を取る。俺の顔の横にアランさんの手がある。微かに耳に触れていてゾクゾクした。
アランさんのサラサラとした銀の髪が顔の横に落ちてくる。カーテンのように周りを遮断し、俺とアランさんだけを閉じ込めた。
アランさんが肘から手のひらをベッドにつく事で、身体が密着する。息のかかる距離で見つめられた。顔は熱いし心臓は痛いほど轟音を立てる。それでも視線を外す事が出来ない。
「アランさん?」
名前を呼ぶと口元が横に広がる。熱い視線だけは変わらない。
アランさんの親指がゆっくりと俺の下唇をなぞる。ゾクゾクしてみぶるいした。
「イル……」
甘い声で名前を呼ばれ、顔が近付く。目を丸くしているうちに唇が触れた。チュッと可愛い音を奏でながら啄むようなキスが繰り返される。
何で俺、アランさんにキスされてんの? アランさんって酔うとキス魔になるの? ずっとお慕いしていたのだから、俺はこれを望んでいた。でも、流されちゃダメだ。
アランさんの肩を手で押すと、すんなり離れてくれた。悲しそうに眉尻を下げられる。そんな目で見ないでほしい。
「あの、アランさんは酔ってますよね?」
「俺を酩酊させるのはイルだけだ」
うん、絶対酔ってる。普段アランさんはそんな事言わない。
「嫌だったか?」
切なげな表情に慌てて首を振る。
「嫌じゃありませ」
言い終わる前に再び口を塞がれた。手のひらが両耳を覆うように顔を包む。
僅かな隙間から舌が挿入された。舌が絡め取られ、唾液の混ざるクチュクチュとした音が響く。耳を塞がれながらだから、音が鮮明に聞こえて体温が上がった。
「んっ、はぁん、あっ」
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