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「その、何も覚えていなくて悪かった。嫌でなければ、昨日のことを教えてくれないか?」
イルは頬を染めて、はい、と小さく頷いた。
「お酒を飲みながらアランさんがソファで寝てしまったので、支えながらお部屋まで運びました」
ソファで放置してくれていたならば、と思わずにはいられない。
イルは更に顔を真っ赤にして続ける。
「俺の事ベッドに押し倒して、好きとか可愛いって言い続けて頬擦りしてきました」
もうこの時点でアウトだろ。両手で頭を抱えて項垂れた。
「それから密着して……(舌を)突っ込まれました」
「はっ? いきなり突っ込んだのか?」
どんな鬼畜だ俺は。
「いえ、(唇同士の)少しの触れ合いはありました」
「……痛くはなかったか?」
痛いに決まっている。切れたりはしなかっただろうか。
「痛いってよりは苦しかったです。(舌の動きが)激しかったので」
「本当にすまなかった。謝って許されるものではないが」
「いえ、アランさんに(キス)してもらって気持ちよかったし幸せでした。でも、途中で(舌を)突っ込んだまま寝てしまわれたのは驚きましたが」
苦笑しながらとんでもない事を言われて呆気に取られる。突っ込んだまま寝た? そんな状態で眠れる意味が分からない。
「……それで、イルはどうしたんだ?」
「(舌を)抜いて(唾液で)ベタベタだったから、ティッシュで拭きました」
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