なんだか疲れているのかも

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なんだか疲れているのかも

 村は南北に伸びる道路は、山々の谷間に作られている。そのため村は道路から東西に外れるに従い、傾斜が高くなり山に近くなる。  祖父の家は西側の山手近くにあった。森から吹き下ろす風は、火照った体を冷ましてくれる。  昔ながらの農家。という趣の古い木造の戸を開けると、風が入り込み風鈴の音が鳴った。ちょうど玄関で掃除していた爺さんが、こちらを見て微笑んだ。 「よう来た。大変だっただろう?」 「いやあ大変。東京からだと遠いわ」  夕姉の言葉に爺さんは、白髪混じりの頭を撫でた。 「まあゆっくりしてなさい。今、婆さんが***を切ってくるから」 「ん、何を切るって?」  なぜか爺さんが言った言葉が、ノイズ混じりの不協和音のように聞こえた。 「スイカ切るって」  夕姉が耳打ちをする。  やっぱり疲れているのかもしれない。私は天井を見つめた。天井の黒い漆喰が、どうも夜空の闇のように黒々と見えた。
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