2.どう考えても、私は絶対悪くないもの

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「いかがされましたか?」 「ちょっと連れてきて欲しい女がいるの」 「女、でございますか」 「えぇ、そうよ。年は私と同じで名前はミルシュカ。ブレア男爵家の娘だったはず」 「かしこまりました。お茶会の招待状をお出ししま――」 「いいえ」  エマの言葉を遮った私は、ゆっくりと首を左右に振る。 「侍女として雇いなさい。彼女は教育がなっていないわ、キッチリわからせてあげて」  にこりと微笑むと、私の言葉の裏を察したのかコクリと彼女も頷いて。 「お嬢様の申されるままに」  そのまま部屋を出ていった。 “未来の私だってただ浮気される様子を眺めていた訳ではないのよ”  自分勝手に股を開く女も、そしてそんな女に簡単に篭絡される男も私には必要なんてないから。 「……私は、私を改めたりはしないわ」  だって私は悪くない。どう考えても悪いのは向こうなのだ。  けれど、同じ行動をすれば同じ道を辿るだろう。  ならば。 「貴女たちを変えてあげるわ、私が教育してあげる」  クッと喉が鳴る。  どうやら私は笑っているらしかった。
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