3.教育をしてあげる

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3.教育をしてあげる

「ミルシュカ・ブレアと申します」  エマの仕事は早かった。 “まぁ、相手がどこの誰かわかっているのだから当然と言えば当然だけれど――”  何故連れてこられたかわからず困惑を滲ませるミルシュカの後ろでスンッとした表情で立っているエマへと視線を向ける。  突然理由なく十歳の少女を連れて来るように命じても表情ひとつ崩さず任務を遂行する彼女は、流石公爵家の侍女というところだろう。 「あの、今日は何で私を……」 「貴女を雇うわ」 「え?」  ブレア男爵家。  元々商人だったミルシュカの父が、金で男爵位を買い貴族となった家。 “成り上がった商人が爵位を買うことは珍しくない”  ただ問題は、妻が元人気娼婦だということ。  別に娼婦を金で買い上げ妻とすること自体は悪くないが、ミルシュカの母は浪費癖が凄かったのだ。  娼婦時代の貢がれる贅沢な暮らしが忘れられず浪費三昧。  時には逆に若い男すらも買っていたという報告もあり、そしていつしかブレア男爵家の資金は底をつき貧乏な暮らしへと変化した。
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