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その声は、ほぼ大人の声だった。
一限目の従業が終わり、休み時間になる。
真矢は後ろの席で何も言わずに座っている。
無表情と言う名の表情のままで。クラスのみんなが振り返って真矢を見た。
しかし話しかけるものは誰もいなかった。
次の日に気づいた。
東にある木山さんとは反対の西にある村田さんの犬だ。
とにかくえらく大人しい犬で、三年ほど前から飼われているのだが、しんやはその犬が吠えるのを一度も聞いたことがなかった。
しかしその犬が初めて吠えたのだ。
歯をむき出して本気で。
吠えた相手は真矢だった。
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