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相変わらず彼への罵倒を続ける私の心中は穏やかではないのだが、そんなことを知らない松前課長は今度は私に向き直った。
「向坂も惜しかったなぁ?あとちょっとで土方に並べたのに」
「……ええ、はい。課長にもお力添えいただいたのに残念です」
「本当僅差だったんだけどな。まあ、次も頑張れよ?」
「はい」
顔に笑顔を張り付けて応対するが、今のささくれた精神状態では課長の言葉を素直に聞き入れる許容はない。
「もう少しで土方に並べた」って……私は奴を超えるために頑張っているのに。
「次も頑張れ」って……簡単に言わないでほしい。先月は限界超えて精一杯やった。それでも勝てなかったんだ。
気持ちの切り替えが下手くそな私は、まだ「次、頑張ろう」という気持ちになる前だ。とにかく今は自分の努力に連動しない結果とどんなに手を尽くしても勝てない土方という存在を憂うことしかできない。
「同じ2位ならそんなに頑張って差を詰めなくて良かったのにな」
「……はあ?」
「お前、残業ランキングだけはトップ独走じゃん」
「……〜っ!」
松前課長が立ち去った直後、彼からポツリと落とされたのはそんな嫌味。
「あんたねぇえ〜?!」
「あ、やば。このあとアポ入ってるからまた夕方話に来るわ」
「え、ちょっと……っ」
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