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「海里さんは私よりもよっぽど優秀な人です!
以前は対抗心を燃やしていましたが、彼ならこの会社を任せられる、私が望む会社を作ってくれると思ったので、これからは彼を支えていくことに決めていました。
しかし、もしも私にまだチャンスが残されているのなら……、私がこの会社を守りたいです!
未熟な私だからこそ、絶対に独裁なんてしない。社員の力を借りながら、新しいアシストクリエーションを作ってみせます!」
勝気で、自信溢れる笑顔が南萌らしい。
彼女は自分の能力ではなく、自分の努力を信じてる。目標のためなら何もかもを捨ててがむしゃらに動ける、そんな自分を信じている。
だからこそ、人は南萌を信頼する。
自分の発言を必ず守ろうとする人間だからこそ……人は彼女に希望を抱くんだ。
「私、負けず嫌いで、とにかく諦めが悪いんです。何度踏まれても立ち上がる……執念深さだけは自信があります。
だから、どうか!私にアシストクリエーションをお任せください。必ず、成果を残すとお約束します!」
挑発的とも取れる強い声で断言した彼女にこれ以上文句を言える者は、誰一人いなかった。
満場一致の賛成。
最後は自分で勝利をもぎ取る……それが向坂南萌のやり方だ。
「それでは、アシストクリエーションの新しい代表は向坂南萌に決定いたしました」
……と、社長の掛け声でようやく場がまとまりかけたのに。
「あ、副社長には土方海里を推薦します!」
「は?」
早速ぶっ込んでくる向坂南萌新社長には参る。
「だって、私たち運命共同体なんでしょ?」
「……」
俺にしか聞こえない声で囁いてイタズラに笑う南萌。こんな顔で見られれば、当然俺に打つ手はなく……
「……仰せのままに、南萌社長」
「ふふ、これからもよろしく!海里!」
これから先は四六時中、彼女を支えることになりそうだ。
09.運命共同体
—end—
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