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『ポイント制』
──近未来、とある国。
ひときは大きな豪邸の一室に、国王と秘書がいた。
「国王様、コーヒーをお持ちいたしました」
「うむ。ありがとう」
国王はコーヒーのとってを持ち、一口飲む。
「ふー。仕事終わりのブラックは格別だな!」
「さようでございますね」
「わしが考えた法律を導入するようになってから、ここ最近バタバタしてて忙しかったからな」
「国民からの評判は上々のようですね」
「わしが考えた『悪口防止条約』『ポイ捨て禁止条約』『暴力禁止条約』『喫煙禁止条約』『飲酒禁止条約』『誹謗中傷禁止条約』はこの国を良くした。これからはこの国をもっと良くするために、どんどん条約を作っていくぞ!」
「国王様が考えた『ポイント制』も素晴らしいアイデアでしたね」
「がははは!『条約のルールを破った者をスマホで撮影及び録音し、それを報告すればポイントが貯まる』というアイデアは良かったな! ポイントが一定数貯まれば現金や旅行チケット、最新の家具家電が貰える。国民は皆、それ欲しさに目をギラつかせているから悪いことをする奴がいなくなる。よって国の治安も良くなる。まさに一石二鳥だな!」
「国王様は天才でございます!」
「ルールを破った者は速攻懲罰! これでクズ人間の数は激減する。がはははは!」
「しかし……他の政治家の皆さんからは『やりすぎだ』と言う評判の声もありますね」
「あんな使えない老害たちのことなんて無視すりゃいい。あんな加齢臭臭いヨボヨボたちに国を任すから悪くなったんだ。これからはアイデアの時代だ。時代遅れの年寄りは必要ない!」
「なるほど」
「それに前の国王も馬鹿だった。あんなFラン大学出身の短足、デブ、ハゲ、ブサイクがよく国王になれたものだ。あいつのせいで国は一気に衰退したんだ。あんなゴミは焼却炉に入れて処分すればいい」
「その国王も今は闘病中でしたね」
「なんでも持病が悪化したらしいが、さっさと死んだらいいんだ。あんなのが居なくなっても誰も困らない」
「そうですか」
「わしはこれからも長く国王を続けるつもりだ。君もわしにずっと付いてきてくれ。君がいないと、わしは何もできない。いづれは結婚し、二人で大きな城に住み幸せに暮らそう!」
「それは難しいです」
「なぜだ?」
「今日、国王様が条約を破ってくれたおかげでポイントがかなり貯まりました。国王様が懲罰中の間に私は世界一周旅行に行ってきます」
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