12人が本棚に入れています
本棚に追加
『赤鬼』
──とある住宅。二人の小学生が談話していた。
「まず用意するのはA4の白い紙、ボールペン、十円玉、あとテーブルだ」
「それで?」
「白い紙に『はい』と『いいえ』を大きく書く。そしてその下に数字、五十音を書く。あ、『はい』と『いいえ』の間に神社の鳥居の絵を書くのを忘れずにな」
「なるほど。それでそれで?」
「二、三人でテーブルを囲んで紙に書いた鳥居の位置に十円玉を置く。全員で人差し指を十円玉に置いたら準備は終わり」
「すげー! それで呼べるのか!」
「まだだよ。その後に全員で同時にこう言うんだ。『コックリさん、コックリさん、どうぞいらして下さい。もし来られましたら十円玉を動かし、はいと書いてあるとこまで行ってくださいまし』てな」
「それでコックリさんを召喚できるのか! いやー勉強になった」
「凄いだろ!? じゃあ、次はお前が俺に教える番だ。俺が知らない妖怪の『召喚方法』を教えてくれ」
「うーん、そんなのないよ」
「は? 交換条件の約束だろ! 俺だけ教えてズルいじゃないか」
「わかった、わかった。ちょっと今考えてるから」
──少年はしばらく考える。
「あ、『合わせ鏡』のやり方教えるよ!」
「それなら知っている。てか、それ俺が教えたんじゃないか!」
「あ、そうだったね。じゃあ、『幽霊と通話できる番号』のやつを教えるよ!」
「それ電話ボックスからかけるやつだろ? もう古いぜ、それ……」
「うーん、そうか。あと何があったかな……」
「もしネタがないんなら、お前が持ってる『超合金』のプラモデルで許してやる!」
「駄目駄目。あれは限定物なんだから」
「じゃあ、教えろよ!」
──少年は考える。
「あ、『赤鬼』の召喚方法を教えてあげるよ!」
「何それ!? 俺知らないんだけど!」
「赤鬼はね、普段は人間に擬態しているんだ。だから見つけるのが非常に難しい」
「擬態!? 知らなかった」
「赤鬼見たい?」
「見たい!」
「これはね……実は僕にしか呼べないんだ。しかも、割と早く会うことできる」
「マジか! 早く教えてくれ!」
「まあ、慌てずに。まず用意する道具は一つだけ。僕の机の引き出しの奥にある『紙』だ」
「紙? そんなんで赤鬼を召喚できるのか? 」
「そう。『紙』は多ければ多いほうがいい。ただし、『テスト用紙』に限る」
「それで?」
「一階に降りて夕飯の準備をしている僕のお母さんに『紙』を見せてくれ。そうすれば『赤鬼』にすぐに会えるよ」
最初のコメントを投稿しよう!