『侵略』

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『侵略』

 ──とある宇宙船。  数人の宇宙人が船を操縦していた。  「前方異常ないか?」  「異常ありません!」    「後方はどうだ?」  「後方も異常なしでございます!」  「よし!」  「しかし隊長、船体の至る部分が破損しています……このままだと……」  「そうだな。前の戦争が激しかったからな。船も攻撃をたくさん受けてしまいボロボロの状態だ……」  「敵を殲滅することには成功しましたが、仲間もたくさん犠牲になりましたね……」  「そうだな。戦争なんてお互いが損するだけだ。なんのプラスにもならない」    「確かに……」  「俺は敵を攻撃する時、いつも躊躇ってしまう。殺し合いなんて楽しいものじゃないからな」  「では、もう争わないと?」  「そうだ。これ以上仲間を失いなくないし、殺したくもない。これからは『共存』の時代だ! 何処かいい惑星を見つけたら、その住人たちと争わずに良い関係を築き上げるんだ!」  「そうですね。戦争はもう懲り懲りです」  「隊長! 前方に惑星を見つけました!」  「本当か!? どんな星だ!?」  「青い星でたくさんの生命が溢れています。あれが噂の『地球』です。」  「地球か! 確か空気もあって自然豊かな星と聞いたことがある。よし、早速行ってみよう!」  ──宇宙船は大気圏を通過し、地球に入った。  「ここが地球か。なんと美しい星なんだ」  「どうやらここの星の住人……つまり地球人たちは他の生き物たちとも共存しているみたいです」  「丁度いいじゃないか! 今までは争う宇宙人ばかりでこちらも疲れていた。共存ができるなら話が早い!」  「ところで船……何処に着陸させます?」  「そうだな、北のほうは寒そうだし、赤道近くは紫外線が多くて身体に悪そうだし……」  「あの島国なんかはどうでしょう?」  「お! いいな! 少しヘンテコな形をした島だが、そこに着陸しよう!」  「了解です!」  ──宇宙船は島国の上空に行き、着陸の準備に入る。  「すっかり夜になったな。着陸には十分気をつけてくれ」  「隊長! 砲撃です!」  「なに!?」  ──砲撃を受け、揺れる宇宙船。  「なぜだ!? ステルスモードにしてあるから向こうからは見えないはずなのに!」  「隊長! また砲撃です! しかもかなりの数です!」  「どうなってる!? 地球人たちは共存するタイプの宇宙人じゃなかったのか!? やもえん……こちらも攻撃の準備をするんだ!」 「隊長! 見てください!」 「なんだ?」 「地球人たちが砲撃しながら笑っています! しかも全員!」 「なんと残忍な連中だ……」 「しかも、小さな子供たちまで皆上空を見ながら笑っています!」 「イカれてる! この星の奴らは危険だ! こんな奴らと共存はできない。退避だ、退避!」  宇宙船は方向を変え、そのまま地球から飛び去った。  ──その頃、地上では。  「こちら、熱海から中継です! 今年も熱海の花火大会に小さな子供からお年寄りまでたくさんの人が集まっております! 今年の花火大会はなんと五千発も花火が打ち上げられるもようで……」
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