『コレクション』

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『コレクション』

 ──とある体育館。  テーブルの上にずらりと様々な物が並べられている。  「これはなんだ?」  「それはキーホルダーです!」  「キーホルダー?」  「シャーペンを買ったらオマケでついてくるツチノコキーホルダーです。最近学生の間で流行っていて全部で十種類あり、私は全てコンプリートしています」  「なるほど。大したコレクションだな」  「へへへ」  「じゃあ、これはなんだ?」  「それはゾンビウォッチと言います!」  「ゾンビ?」  「はい。それもまた若い子らの間で流行っていまして。ゾンビの顔が中にプリントされている腕時計です」  「全部そろえているのか?」  「はい。全部コンプリート済みです。確か、全部で二十六種類あったかと思います」    「なるほど」  「特にこのゾンビ犬ウォッチは百個限定のプレミア物です。売れば十万円はくだらないでしょう!」  「凄いコレクションの数だな! あんたは本当に本物のコレクターだ!」  「ありがとうございます! 私、一度集めだすと止まらない性格でして。へへへ」  「ちなみに、このシューズは?」  「はい、バスケットシューズになります。ほとんど集めました!」  「バスケが好きなのか?」  「いえ、ただ集めているだけです。特にこの白いシューズはアメリカのNBAの有名な選手がプロデュースした限定品になります。中古でも売れば五万円はするでしょう」  「よし、わかった。君は私が今まで見た中でもかなりのコレクターだ!」  「ありがとうございます」  「質問は以上だ。本当にこんなに数があると時間がかかるな」  「お疲れ様でした」  「ここにあるのは全部で八〇〇点か。ずいぶん集めたな」  「本当に苦労しました」  「なにを言っている。『苦労』するのはこれからだぞ!」  「はい? と言いますと?」  「わからないのか? 私は長く警察の仕事をやっているからわかるんだ。学校に不法侵入し、生徒の持ち物を盗む。窃盗、建造物侵入の疑いで懲役四年はくだされるだろう。多分、君は一番過酷な静岡県の刑務所に送られるはずだ……そこで君は朝から晩まで労働させられ……」
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