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『メリーさん』
──とあるマンション。女性が住む部屋に電話が鳴る。
「はい、もしもし?」
「……わたし……メリーさん……」
「はい?」
「……今……駅にいるの……」
──電話が切れる。
「なに、今の!?」
──数分後。再び電話が鳴る。
「はい、もしもし?」
「……わたし……メリーさん……」
「はい?」
「……今……海岸沿いにいるの……」
──電話が切れる。
「なによ!? いたずら!?」
──数分後。再び電話が鳴る。
「……はい、もしもし」
「……わたし……メリーさん……」
「ちょっと! いい加減にしなさいよ!」
「……今……小学校の前にいるの……」
──電話が切れる。
「なによ、気味が悪い。しかも、だんだん近づいてきてるじゃない……」
──数分後。再び電話が鳴る。
「はい」
「……わたし……メリーさん……」
「あなた、なんなの! いい加減にしないと警察に連絡するわよ!」
「……今……コンビニの前にいるの……」
──電話が切れる。
「もしかして、本物のメリーさんなの!? 私に会いに来ようとしてるの!?」
──数分後。再び電話が鳴る。
「……はい」
「……わたし……メリーさん……」
「……また!?」
「……今……公民館近くの時計台の前にいるの……」
──電話が切れる。そして数分後。再び電話が鳴る。
「……もしもし」
「……わたし……メリーさん……」
「……ゴクッ」
「……今……アパートの前にいるの……」
──電話が切れる。そして数分後。再び電話が鳴る。
「はい、もしもし」
「……わたし……メリーさん……」
「で?」
「……今……部屋の中にいるの……」
「どこのアパートですか?」
「……」
「場所、間違えてません?」
「……」
「私、もうアパートに住んでませんけど? 二年前に公務員のイケメン男性と知り合って結婚して、今はお台場の高級タワーマンションに住んでるんで!」
「……なぬ」
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