『吸血鬼』

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『吸血鬼』

 そいつは女の血を吸う。そして男の血も吸う。  牛や羊の血も好んで吸う。  羽を広げ、飛び回る姿はまさに悪魔そのもの。  しかも、奴らはいつの間にか数を増やす。人々はそんな奴らに不安と恐怖を覚える。  やっかいなことに十字架を奴らに見せても平然な顔をしている。ニンニクも全く効果がない。太陽の光さえも……。  母親が噛まれた。  俺は知っている。奴に噛まれたらどうなるか。母親は苦しそうにしている。  俺は復讐を誓い、奴を探す。クローゼットの中、ベットの下、屋根裏など奴の隠れそうな場所を一つ一つ調べる。  汗が止まらない。もしかしたら、次は自分が襲われるかもしれないからだ。  そして……とうとう奴を見つけてしまった。  奴は堂々とキッチンにいた。奴は物応じつ、こちらを見ている。  冷や汗が止まらない。次は自分がやられるかもしれないからだ。  だが……これ以上の犠牲者を増やさない為にも奴をここで仕留めなければならない。  心を平常にする。右手に持っている殺傷性の高い武器を強く握る。  両者の間に緊張が走る。時間だけがゆっくりと流れる。  そして……奴が窓から逃げようとする!  俺は殺傷能力の高い武器で奴を攻撃した。  こちらの攻撃が効いたのか、奴はゆっくりと床に落ちた。お腹を見せ、足をピクピク動かし痙攣している。  決着がついた。  ちょうど騒ぎを聞きつけた母親がやって来る。もうすぐ息絶える奴の姿を見た母親の顔にも安堵の表情が溢れる。  そして、奴に噛まれた腕を見せ、こう言った。  「早くムヒ持ってきて」
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