『最強シャツ』

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『最強シャツ』

 ──とある研究室。  二人の研究者が会話をしていた。  「やっと完成したか」  「はい、やっと完成しました」  「どんなピストルの弾も通さない防弾Tシャツを企画して早二十年……長かったな」  「そうですね。二十年は長かったですね」  「見た目はただのTシャツだが、ライフルの弾さえも貫通させない強力な防具だ。早速、世界中に売り飛ばすぞ!」  「はい。各国がこぞって買い占めるでしょうね」  「まず先にアメリカに売ってみよう。SWATやFBIが喜ぶはずだ!」  「いいですね」  「そして、一般人にも買えるようにもしよう。なんたってアメリカは治安が悪いからな」  「たくさん売れるでしょうね」  「この商品は元々木の樹脂で出来ているから、低コストで大量に作ることができる。一般人でも気軽に買える優れものだ! 早速売りさばくぞ!」  「はい」 ──三ヶ月後  「どうだ? 防弾Tシャツの売れ行きのほうは?」  「はい。たくさん売れてます!」  「そうかそうか。それは良かった!」  「なんでも、アメリカではすでにこの商品がSWATやFBIに導入されてるみたいで、評判も上々のようです」  「本当か! アメリカの治安もこれで少しは回復するな!」  「いえ、それが……あのTシャツが販売されるようになってから、犯罪率が過去最悪になったようです……」
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