『買いもの』

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『買いもの』

 じいちゃんから電話がかかる。    「元気にしとるか?」   「あ、おじいちゃん! 元気しとるよ!」  「一週間後に会うのが楽しみじゃの。孫の顔が早く見たいわい!」  じいちゃんと一週間後に会う約束をしている。じいちゃんも電話越しで僕に会う日を楽しみにしているようだ。  「実は最近、カブトムシを見つけたんじゃ。ヘラクレスオオカブトって言うらしいんじゃが、今虫かごが無くて困っとる。どうにかならんかいの?」  「わかった。なんとかする!」  僕は電話を切った後、急いで虫かごを買いに行った。  ──翌日  「いきなり電話してすまんの。実は昨日、部屋でバルサンたいてたら、カブトムシも一緒に死んでしもうたんじゃ」  「えー! 勿体無い……」  「その変わり、昨日、近所の人に金魚を一匹貰ったんじゃ。じゃが、入れ物がなくて困っとる。どうにかならんかいの?」  「わかった! 任せて!」  僕は電話を切った後、急いで金魚鉢を買いに行った。  ──翌日  「いきなり電話してすまんの。実は金魚を入れていたビニール袋が破けてしまって……金魚死んでしもうたんじゃ」  「もう! なにやってんの!」  「その変わり、昨日、野良猫を拾ってきたんじゃ。綺麗なロシアンブルーの猫ちゃんで、名前はクレア。我が家の家族に向かい入れようと思うとるんじゃが、猫専用のトイレが無くての。どうにかならんかの?」  「わかった。猫ちゃんね、なんとかする!」  僕は電話を切った後、急いでペットショップに行った。  ──翌日  「いきなり電話してすまんの。実は昨日、拾った猫の飼い主らしき人が急に現れてな。クレアちゃん連れて行かれたんじゃ」  「そうなの!? せっかくトイレ買ったのに」  「その変わり、昨日、サモエド犬を拾ったんじゃ。じゃが、犬小屋が無くて困っとる。どうにかならんかの?」  「はいはい。犬ね。なんとかしてみる」  僕は電話を切った後、急いでまたペットショップに行った。  ──翌日  「いきなり電話してすまんの。実は拾った犬が脱走してしまったんじゃ。何処を探しても見つからなくての……」  「脱走? なにやってんの!?」  「その変わり、昨日、山でツキノワグマを見つけたんじゃ。麻酔銃で眠らせて、そのまま家に持って帰った。今は気持ちよさそうに寝とる。このまま家で飼おうと思っとるんじゃが、大好物の蜂蜜が無くて困っとる。どうにかならんかの?」  「OK。なんとかしてみる」  僕は電話を切った後、急いで喪服を買いに行った。
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