怒りの島原雪次

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怒りの島原雪次

 世間が盛大に騒ぐ中、新設されつつある警察庁紱魔課の立ち上げの合間を縫って、島原雪次は、いつもの「おいでやす」の表札を潜った。 「ぶーん。ぶーん。うっきゃあ」  仏頂面で、馬鹿の娘がドローンを室内で飛ばしていた。 「あん?」  ドローンが、天井に当たって落ちたのを受け止めたのは、多分例の袋田氏のようだった。 「おじさん。ちわー」  異常に喋る1歳児の姿があった。 「ああこんにちは。あれはいるのか?」 「ママとベッドのうえ」  やっぱりか。 「ダニンガンじゃないよ」  そうなのか。  だが、ダニンガンの意味を正確に把握している1歳児って、怖いな。  いつもの、トキの歓迎を受けた。  寝室のドアを荒々しく開けると、嫁とチュッチュしていた馬鹿が、 「ああ島原。記者会見見たぞ?グッジョブだ」 「お前えええええええええええ!焚きつけるだけ焚きつけて!少しは働いたらどうだ?!」 「あん?だから、仕事はしてやると言っている。まず課の設立が先だろう。桜咲会は掌握したし、トキは勿論だな。で?ハードの手伝いは一切やらんぞ?お前が頑張れば頑張るだけ俺の仕事着手が早くなるんだ。俺?大体今産休中だしな?娘の誕生が楽しみだし♡」 「アン♡」  お腹を撫でまわされて、嫁は嬉しそうな嬌声を上げていた。  手近にあった椅子を手繰り寄せて、島原は無言で座った。 「これ以上、無駄話をしたら、本気で撃つ」  まだ銃か。雷撃の精度を上げてやらんとな。  勘解由小路は、珍しくアドバイザーとして、長い話し合いに付き合うことにした。  
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