6人が本棚に入れています
本棚に追加
怒りの島原雪次
世間が盛大に騒ぐ中、新設されつつある警察庁紱魔課の立ち上げの合間を縫って、島原雪次は、いつもの「おいでやす」の表札を潜った。
「ぶーん。ぶーん。うっきゃあ」
仏頂面で、馬鹿の娘がドローンを室内で飛ばしていた。
「あん?」
ドローンが、天井に当たって落ちたのを受け止めたのは、多分例の袋田氏のようだった。
「おじさん。ちわー」
異常に喋る1歳児の姿があった。
「ああこんにちは。あれはいるのか?」
「ママとベッドのうえ」
やっぱりか。
「ダニンガンじゃないよ」
そうなのか。
だが、ダニンガンの意味を正確に把握している1歳児って、怖いな。
いつもの、トキの歓迎を受けた。
寝室のドアを荒々しく開けると、嫁とチュッチュしていた馬鹿が、
「ああ島原。記者会見見たぞ?グッジョブだ」
「お前えええええええええええ!焚きつけるだけ焚きつけて!少しは働いたらどうだ?!」
「あん?だから、仕事はしてやると言っている。まず課の設立が先だろう。桜咲会は掌握したし、トキは勿論だな。で?ハードの手伝いは一切やらんぞ?お前が頑張れば頑張るだけ俺の仕事着手が早くなるんだ。俺?大体今産休中だしな?娘の誕生が楽しみだし♡」
「アン♡」
お腹を撫でまわされて、嫁は嬉しそうな嬌声を上げていた。
手近にあった椅子を手繰り寄せて、島原は無言で座った。
「これ以上、無駄話をしたら、本気で撃つ」
まだ銃か。雷撃の精度を上げてやらんとな。
勘解由小路は、珍しくアドバイザーとして、長い話し合いに付き合うことにした。
最初のコメントを投稿しよう!