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ラップが
「はァはァ……」
さすがに両者ともに肩で息をして疲労の色は隠せない。
「いやいや、お父さんもやりますねェ」
彼氏役のネムはニヤッと微笑んだ。
「ぬうううゥ……、ふざけるなァ。お前にお父さんと呼ばれる筋合いはない」
どうしても父親役の私は、このチャラい彼氏は認められない。意地でも負けられない気分だ。
「ねえェ、ラップバトルっていつ終わるのォ?」
すでに愛娘役のシャオランは飽きたみたいだ。パンダのリーリーを抱きかかえて暇そうに私たちを眺めていた。
「ぬううゥ……」
だが私もこのまま安易に二人の仲を認めるワケにはいかない。
こうして、このあとも二人の不毛な闘いが続いた。
なにしろヒップホップなんて冷蔵庫に眠ってる腐りやすい生モノと同じだろう。
どちらも『ラップ』が必要不可欠だ。
おあとがよろしいようで。
おしまい
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