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#1 cute in the grave
減衰の無い光の直射は鮮やかに明暗を作り出す。
寝台に眠る王妃。
長い髪に結線された幾千の繊維。
プライマリーの姿は思い出すことが出来ない。
当時医師だった何者かに選択的に破壊された王妃の記憶。
寝台に眠る王妃の姿は、記憶と記録からデザインされたものだった。
船で過去へと移動し実測した結果を基にはしている。
しかし、私の記憶そのものではない。
復その故当時に対しての見当識も働かない。
白い肌。黒い髪。瞳は閉じている。
幸い魂は此方に有ったので人格は本物だった。
只、姿が、私の記憶と合致しないだけだった。
その魂も私を求めているかと言うと必ずしもそうとは言えない。
何処かへ去ってしまう、そんな事も度々
不安定な関係だったが其のままではやっていけない。
此処に居るのは彼女の結晶。
私を愛するという心の機能を凝集したもの。
球状の造影機に写る最前線の艦隊戦。
まもなく手中にする。
第二十三番目。
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