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#3 far away from home
二つの角の様にビルの上にビルが建つGMP本社。
二つの塔の谷間、吹き抜けの淵に立っていた。
少し強い風に向かい見下ろせば眼下に王都が拡がっていた。
夕暮れの王都を夜の闇が覆っていく。
少しタイミングがずれながら王都の電灯が灯って行く。
風の音。眼下の王都からの遠い雑音。
瞬く間に暗くなる空。
見上げた空には地球の、馴染みのない星空。
地軸の軸線上にある星が北極星と言う。
ずいぶん遠くまで来たものだと思う。
手すりに手を掛けて下を向いて溜息をつく。
「ホームシック?」
何処かで見たことのある男が横に並ぶ。
手すりに手を掛けて此方を向く。
返答に戸惑っていると更に畳みかけてきた。
「何処の人?」
「社の人ですか?」
「……スポンサーかな。」
「クシナダから――」
唐突にポケットの中の携帯が鳴った。
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