1 永遠の恋

4/22
前へ
/98ページ
次へ
#3 far away from home 二つの角の様にビルの上にビルが建つGMP本社。 二つの塔の谷間、吹き抜けの淵に立っていた。 少し強い風に向かい見下ろせば眼下に王都が拡がっていた。 夕暮れの王都を夜の闇が覆っていく。 少しタイミングがずれながら王都の電灯が灯って行く。 風の音。眼下の王都からの遠い雑音。 瞬く間に暗くなる空。 見上げた空には地球の、馴染みのない星空。 地軸の軸線上にある星が北極星と言う。 ずいぶん遠くまで来たものだと思う。 手すりに手を掛けて下を向いて溜息をつく。 「ホームシック?」 何処かで見たことのある男が横に並ぶ。 手すりに手を掛けて此方を向く。 返答に戸惑っていると更に畳みかけてきた。 「何処の人?」 「社の人ですか?」 「……スポンサーかな。」 「クシナダから――」 唐突にポケットの中の携帯が鳴った。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加