水族館

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「電車は普段乗らないんですか?」 「はい。車ですかね」 私の方をちらりと見ては、また外に目をやる。 「ふーん?」 「あゆさん、電車って速いですね」 「…そうですね」 宮本さん、なんでモテないんだろ。ヤクザだったからかな。楽しそうにしてる顔を、ずーっと見つめていた。 水族館に着いたら、さらにわくわくしてる。行ったことなかったんだって。私がチケットを買ってあげた。 「お魚いっぱいですね」 わぁーと水槽に張り付いて見てる。 「これなんて魚?」 「鯛です」 「これは?」 「鰯です」 「すごーい詳しい〜」 は。ついキャバ嬢的しゃべりに。やだー 「一応料理したことある魚ならわかりますよ!あゆさん、あっちに大きい魚いますね!行きましょう!」 楽しそう。私も楽しい。手を勝手に繋いでも怒らない。もっともっと、触れていたい。 いつの間にか、お昼時。適当にご飯屋さんに入る。私1人ではできないけど、この適当に入ることの嬉しさ。たまんない。 「宮本さん、メニュー読めないから、読んでほしいです」 「はい!わかりました。ナポリタン、ミートソース…」 全部読んでくれるのかな。嬉しい。 「じゃあ宮本さんは、なににする?」 「イカスミパスタっすね」 「同じのにする」 「わかりました!すみません〜」 私の分もスマートに注文してくれて、キュンとした。そして支払いもしてくれた。 「さっき払ってくれたから」 だって。優しい…。
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