5人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
ホスト
どうしてこんなとこいるんだっけ…
「かわいいねぇ〜。また遊びにおいでよ」
「…はぁ」
私、なにしてるんだろう。こんなところ、自分から行かないはずなのに。
「お金、今払う?」
請求書…?だと思う。数字だと思う、けど…
「財布、お金入ってる?」
「…ない」
「なら、ATM行こうか〜」
ATMに、知らない人と移動してる。すぐ到着して…なんでだろう、カバンあさられて通帳見られてる。でも、ふわふわしてなにも、わからない。
「お金持ちだね。仕事なにしてる?」
「キャバ嬢」
「へー?お金なにに使うの?」
「…なにって…」
ただ、できる仕事がこれだったから。それだけ。
「じゃあまたね」
…え、ここどこ?
仕方なく、タクシーを拾って帰った…。
「これ昨日の話なんだけど、ぼんやりした記憶でなーんかほぼ覚えてなくて」
こんなでたらめな話を、お客さんはよーく聞いてくれた。常連客の住職様だ。
「なるほど。ユアさんは、そのお店を覚えていますか?」
「なんにもわかんなくて。で、話した人の顔すらわからない」
「そうなんですか…それは困りましたね」
「家の帰り道だったのかも、覚えてない」
「そうですか。なにか飲みましょうか」
「…雪見、オーダー」
「はい!」
たまたまその辺にいた、ボーイの雪見を呼び出した。借金返済のためにこの店で働いている。
「私に飲み物ちょーだい」
「なにがいいですか?」
「一番高いやつに決まってる〜」
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!