ホスト

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「住職に頼まれて」 「なんで」 「しっかりしてるユアさんなのに、なにかおかしいと住職が」 「そう…」 ちょっと前にした話だったと思うけど、いつからつけられてたのやら。雪見は住職様の養子になったから、なにかとこき使われてるようだ。私は、しっかりしてないし、もともとおかしいんだけど。そうは見えてないみたい。 「おそらく、よくない薬…飲まされてます」 「…え?」 「なので、しばらくは、仕事休んだ方がいいです」 「大丈夫、元気だから…」 休んだら、職失っちゃう…。 「ユアさん」 住職様、なんでこんなところに。ここは、スタッフしか… 「大丈夫ですよ。心配でしたので私も様子を見させて頂きました。仕事は休んでも大丈夫です」 そんなの、だめじゃん。仕事辞めさせられたらどうしよ。ホストなんかに捕まったの私のせいだし…。 「心配ありません。そのお店について、あなたの上司にご報告してますから。だから、ユアさんは悪くないんです」 お店?上司…って、ヤクザ? 「そうですね。この辺は森山(もりやま)組が管轄してるはずなので、追い出すはずですよ」 …私のせいじゃない。 「はい」 「…ユアさん、俺、家まで送りますよ?」 「雪見、仕事しないとだめでしょ」 「…んじゃ、住職が送ります?」 「いいです、私1人で帰れる」 その辺に置いてあった自分のカバンの中身を見る。雪見が持ってきたのかな。荷物はあさられた形跡ないし、通帳も入ってた。 「そうですか。ユアさんには、素敵な方が現れる予感がします。だから、アンテナを張ってて下さいね」 え? 「では私はこれで」 住職様、アンテナって? さっさといなくなっちゃった。
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