ホスト

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綺麗なお店。和風で、なんかオシャレ。 「どうぞ、お座り下さい」 「…すみません」 2人用の席に案内された。 「はい、テッシュ」 いつの間にか持ってきてくれてる。でも、接客としては、その発言はどうなんだ? 「ありがとうございます」 はぁ〜恥ずかしいなぁ、何してんの私。すっぴんに近いものになっちゃってるはず。でもこのまま帰れないし拭く。その間に、店主さんはいなくなった。 その後、ゴミ箱持って現れた。私の座席横に置いてくれた。本人は前の席に座った。 「今、新メニュー開発してて。できたから、休憩に外に出たらあなたがいたんです」 「邪魔してすみません」 「いえ?…顔色悪いですね」 「大丈夫、です」 「なにか、食べますか?お腹すいてます?あ、試作のメニューで、何品かあって。これメニュー表で」 ポケットからメモを取り出して見せてくれた。頭がぐわんぐわんする。思わず目を背けた。 「え、大丈夫…ですか?」 「…読めない」 「え」 「字が、読めない」 「す、すみません!汚い字で!字、書くの下手で…」 「私…字が読めない…」 全然知らない人だから、話しても問題ない。だから勝手に話してた。こんなこと、話してもバカにされるだけなのに。 「いっぱい頑張ったのに…」 「すみません、俺、ちゃんと学校行ってなくて。文字の読み書き怪しいんです。だから、ごめんなさい」 「そうじゃないです!私、もともと…字が読めない!頑張っても全然読めないの!」 「…と、言うことは?ひらがなとか、そういう問題じゃない?」 「そうです。なんでも、数字も」 「そうなんですね。じゃ、俺が読み上げますね。えーと、赤えびのお寿司に…」 どうして、そんな、簡単に受け入れられる?
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