水族館

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水族館

「もしもし」 「宮本さん、駅にいます」 「あ、もうちょっとで着きます」 強引にデートに誘った。こんなこと初めてだから、緊張する。そもそも、私はデートなんかしたことがない。 服装は迷ったけど、結局Tシャツにダメージジーンズにした。昨日は肩出した服にショートデニムだったけど、露出しすぎてたと思うから、今日は抑えた。つもり。 「お待たせしました」 「…板前さんの格好と全然違う」 私服だるだるヤンキー系!?黒系とは…ギャップあるな。 「え?板前?」 だけど、私服見れるの嬉しい! 「私、宮本さんのこと好きです」 「え、…え?そんな、ことが…?」 大きな目が私を見てる。まっすぐ、私だけを。 「だから手を繋ぎましょう」 「…!あゆさん、手、小さいですね」 手を繋いだことは嫌がってないみたい。 「宮本さんの手、大きい」 ぴったり横にくっついてみた。ドキドキするの聞こえたら恥ずかしいけど。こんなことするの初めてだから、どんな顔していいんだろ… 「お、お仕事はお休みですか?」 宮本さんはちょっと照れながら話しかけてきた。 「うん」 嬉しくって、たまらなくなった。 今日の移動は、電車だ。駅員さんに行き方を全部聞けばいいから、読めなくたって大丈夫。宮本さんは電車の中で、子供みたいに、外を見てわくわくしてる。
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