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結局、誰にも何も言えないまま数日が経った。 全校集会にて、男子生徒の転落による死亡が全生徒に知らされたものの、周囲はやはりーー少なくとも私達の周りは、その頃には比較的いつも通りの日常を送っていた。事故のことを口にする人も少なくなっていた。 ある日、エミと一緒に廊下を歩いていると、正面から歩いてくる御崎先輩と擦れ違った。 「瑠花、ラッキーだったね」 「え?」 「御崎先輩とすれ違えた日はラッキーでハッピーだって、いつも自分で言ってるじゃん」 「あ、うん……」 エミの言葉に、何だか上手く返事が出来ない。 「……瑠花、最近元気ないね」 エミが心配そうに私を見つめてそう尋ねてくれる。 「そ、そんなことないよ。元気だよ」 「……まあ確かに、先輩が卒業したら、今みたいに廊下で擦れ違うこともなくなるもんね……寂しくなるよね」 「う、うん……」 ……そうだよ。先輩はもうすぐ卒業して、有名私大の大学生になる。 華やかな未来が数ヶ月後に待ち受けているのに、人なんて殺す? きっと殺さない。 私だって、先輩が杉山さんって人を突き落とすところを直接見たわけじゃないし、あの夜に先輩が話していたのが杉山さんだとも限らない。
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