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その数日後ーー。 週末の金曜日だけれど定時であっさりと仕事が終わり、会社を出たのはまだ十七時半だった。 友達との予定もないし、せっかくの週末なのにこのままだと真っ直ぐ帰宅ルートだ。 まあ、それでももちろんいいけどと思いつつーーふと思い付きで、普段は行かないような大きな本屋にでも行ってみようかなと思った。本が好きなことは、学生時代から変わらない。 良さげな本屋をスマホで調べ、普段は乗らない路線の電車に乗って、目的地へ向かう。 駅前の大きなビルの中に入っている本屋で、ついワクワクしながら店の中へと入った。 広くて綺麗な店内を軽く一周ぐるっとした後、私は文芸のコーナーに立ち戻り、本棚をじっくりと眺める。 豊富な品揃えの本棚に思わず胸をときめかせながら、どの本を手に取ろうか考えていた、その時ーー。 「あれ? 木下さん……?」 誰かに話し掛けられたかもしれないと思い、私は声の方へと振り向いた。 すると、振り返った先にいたのはまさかのーー。 「み、御崎先輩……⁉︎」
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