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そんな私に、先輩はこう尋ねた。
「木下さんは、この辺りで仕事してるの?」
「あ……こ、この辺りというほどでもないんですが、都内で仕事してます。み、御崎先輩も……?」
「うん、俺もそんな感じ。ここの本屋、広くてお気に入りだから、仕事帰りにたまに来ちゃうんだよね」
「そ、そうだったんですね」
ああ、先輩の優しい笑顔、あの頃と変わらないなあ……。
あの頃は先輩のことが本当に好きだったんだよなと、当時の気持ちを思い出す……。
すると……。
「木下さん。せっかくだし、ちょっとお茶でもしない?」
「……へ?」
お茶?
私と、御崎先輩が?
「なっ、何で⁉︎」
「あっ、ご、ごめん。変な意図はないんだけど……。そうだよね、別に高校の時もそんなに二人で話したことがあったわけじゃないのに、いきなり誘ったりしたら困るよね」
「こ、困りはしないです!」
そうだよね、深い意味なんてあるわけないよね。お互い、もう高校生じゃない。いい大人なんだから、ばったり会った知り合いとちょっとお茶することくらい普通にあるだろう。
……お茶に誘われたくらいでこんな風に動揺してしまうんだから、私はやっぱり、未だに先輩のことを少なからず意識してるんだよな……。
「じゃあ、一階のカフェでどうかな?」
「は、はい……」
先輩の提案に頷き、私達は早速、そのカフェへと移動することになった。
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