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そんな日々が続いたまま、季節は秋へと移り変わった。 その日、私は放課後の図書当番を務めた後、うっかり課題のノートを図書室に忘れたことに帰宅してから気付いた。 明日の一限目の授業で提出しなければならない課題だったため、どうしても取りに戻らなくてはいけず、夜になってから再び学校に戻った。 先生達はまだ数人残っている時間ではあったけれど、校舎の電気は必要最低限まで消されているから薄暗かった。 こんな時間に校舎に入ったのは初めてだった。 何だか不気味な雰囲気だし、幽霊でも出そうで不気味だったから、早くノートを回収して、すぐに家に帰りたいと思った。 図書室は、三年生の教室がある東校舎の三階の突き当たりにある。 私は校舎の不気味な雰囲気に呑まれないよう、早歩きで三階までの階段をのぼっていった。 すると、その階段をちょうどのぼり切ったところでーー。 「うるせえ!」 男性の怒鳴り声が突然聞こえて、私は反射的にその場でピタッ足を止めた。 こんな時間に、職員室以外に誰かいるの? それだけでも不安感が募るというのに、ましてや今の怒鳴り声……。恐怖心が募った。 そのままその場で立ちすくんでいると、どこかの教室の引き戸がガラッと開く音がした。 隠れる場所もないのでワタワタとしていると、教室から出てきたと思われる人物は階段を降りるためか、こちらへ真っ直ぐに歩いてきた。 その人物はーー御崎先輩だった。
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