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三年A組の前には、ちょっとした人集りが出来ていた。
その中には教師もいて、生徒達に「教室には入るな!」と注意をしていた。
私は人集りの中に混じり、隙間から顔を出して教室内を覗くと、確かに数名の警察官がそこにいた……。
「先生ー、三年の生徒が転落したって本当なの?」
どこからか、女子生徒のそんな声が聞こえてきた。
私は耳を澄ませながら、質問を受けた教師の側にそっと近付いた。
「近々、全校集会できちんとした説明があるから」
教師はそう答えるのみで、詳しい返答をしようとしなかった。
すると、その時……。
「先生、おはようございます」
その声に、私はバッと後ろを振り返った。
何故なら、声の主が御崎先輩だったから。
「おお、御崎か」
「何かあったんですか?」
「その……実はな」
その教師は、御崎先輩のことをよほど信頼しているのか、他の生徒には頑なに話さなかった内容を小声で彼に説明し始める。
私は先程同様に耳を澄ませ、それと同時に教師の陰に隠れながら、二人の話を文字通り盗み聞きした。
それによると、昨夜から今朝の間にかけて、三年A組の杉山さんという男子生徒が教室の窓から転落死していたとのことだった……。
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