つまらない男

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 付き合って『いわくの半年』が過ぎ、もうすぐ1年が経過しようとしていた。 だから俺はそろそろ同棲でも始めて、来年あたり菜々と結婚すると予想していた。 「君もまた俺が『つまらない男』だと言うのか?」とため息交じりに問いかける。  菜々は少し考え「つまらない…というより、価値観が違う、人生が交える気がしない。一緒にいるのに孤独を感じて……この先一緒にいるのが怖いんです」と震える小声で答える。 「価値観?そんなもの、他人なのだから違って当然だろう」 「そうです。でも、だからといって違う方向を向いたままでは一緒になんて暮らせません。そういうカップルやご夫婦もみえるかもしれませんが…私は嫌です。だから私は智成さんの事を少しでも多く知ろうとしましたし、自分の思いも伝えてきました。だけど智成さんは受け入れるばかりで…私を知ろうとはしてくれませんでした」  感極まってか、菜々の目から涙が溢れた。  それと同時に菜々は堰を切ったように一気に話し始めた。
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