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「あなたみたいなつまらない人とは、もう別れたいの」
会社の給湯室で半年前から付き合っていた彼女、由美からの一言。
―――このセリフ、何度聞いてもいい気はしないな。
俺はため息交じりに返す。
「そういう君は、『つまりある』人間だと言えるのか?」
そんなふざけたジョークを俺が返すと、歴代の彼女であれば何のことかわからないといった表情を向けてきた。
しかし流石の由美はとっさに判断し、俺の左頬に平手打ちを食らわす。
「あなたよりはね」
ひとり取り残された給湯室で、ぶたれた頬をさすりながらインスタントコーヒーの粉をマイカップに入れ、湯を注ぐ。
付き合って欲しい、と言われて付き合いを始めるのに、なぜか毎回同じように振られてしまう俺。
どうやら俺は本当につまらない人間らしい。
何故だろう。
まず彼女になりたがる大体の女性は、俺の容姿、肩書、学歴が良いと言ってアプローチしてくる。仕事が忙しいのも承知の上だと。
だからといって俺も彼女を蔑ろにせず、誕生日やクリスマスはディナーの予約やプレゼントを欠かさないようにしていた。
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