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俺も大概性格が悪い。つい、彼のその仮面をはがしたい、素の藤本彰斗と仕事をしたい。
興味を持った人間とはとことんやり合いたくなってしまうのだ。
そんな欲求が湧き上がってしまう。
「だから、公務員とか会社勤めはできないんだろうな」
クリエイティブな仕事を選んで本当によかったと思っている。
普通の会社員になっていたら、三日で首だ。
「いや、一時間かもな」
捨て猫のようだった志波を助けたのも、どこか秘めた才能のようなものを感じたからだし、直感を信じている。
そして、俺にとって志波はとても大切な人だ。
だから、簡単に現れたアイツに渡すわけにはいかない。
さあ、どうしようかな。
束ねていた髪をほどき、俺は窓の外に目を向けた。
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