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好きな料理
《らいら》の好きだった「海老とホタテのグラタン」が今では自分のお気に入りのメニューになっている。
そう言えば社長も同じものが好きなのか、会うたびに同じものを食べている。
「海老とホタテのグラタン」なんて社長なら社食で食べなくても、幾らでも本格的なものが食べられそうなのに･････
《らいら》はうちで夕食を食べることが多かった、そんな時は母が必ず《らいら》の大好きな「海老とホタテのグラタン」を作っていた。
テーブルに乗ったグラタンを見た時の嬉しそうな顔が可愛くて、母も僕も「海老とホタテのグラタン」が大好きになった。
《らいら》がいなくなった後も母は何度か「海老とホタテのグラタン」を作った。
テーブルに乗った「海老とホタテのグラタン」を見て泣き出す俺に、母は自然とそれを作らなくなった。
「海老とホタテのグラタン」は僕にとって《らいら》との思い出のメニューだった。
《らいら》は今も何処かで食べているだろうか？
社食の「海老とホタテのグラタン」を食べさせたら、どんな顔をするだろう！
あの頃と同じように嬉しそうな顔で食べるだろうか？
きっと大人になった《らいら》は、もっと他に美味しいものを見つけて、「海老とホタテのグラタン」が好きだったことすら忘れてしまったかもしれない。
僕だけが覚えていて、毎日のように食べているのに･････そんな事もお前は知らない。
《らいら》を思い出しながら、熱いグラタンを咀嚼した。
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