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「もっと彩帆の成長を見たかった…
玄都、彩帆のことをお願いね!」
月奈の言葉を聞いた私は、ベッドの横で月奈の手を握りながら、
「月奈、彩帆のことは心配しないで…
もう少し頑張って生きて…」
と切実な願いを込めて月奈に言葉をかけた。
すると月奈は少し笑顔になったかと思ったら、そのまま静かに眠りについてしまった。
この日を最後に、月奈が目を覚ますことはなかった。
私は子育てに追われて大変な思いをしたけれど、決して弱音を吐かずに彩帆の成長を見守った。
幼稚園、小学校、中学校、高校と彩帆はすくすくと成長していった。
成長するにつれて彩帆は母親の月奈に似ていくような感じがして、明るく元気な女の子に成長してくれた。
このことは父親の私としては、とても喜ばしいことだと感じていた。
彩帆は大学に進学して卒業後就職したけれど、27歳になった頃、結婚するといって家に奏風君を連れてきた。
初めて会う奏風君は、誠実で優しそうな雰囲気で、彩帆のことを幸せにしてくれるだろうと感じた。
そして1年後、彩帆の結婚式と披露宴が開催された。
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