妻との再会

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結婚して彩帆は家を出たけれど、よく奏風君と一緒に遊びに来てくれた。 そして彩帆は1年後に女の子の『和彩(かずさ)』を出産して、さらにその2年後に男の子の『真潤(まひろ)』を出産した。 彩帆は奏風君と一緒に、孫の和彩と真潤を連れて私の家に遊びに来てくれた。 すでに定年退職して年金生活をしていた私にとって、彩帆が家族を連れて遊びに来てくれることが、とても楽しみだった。 孫の和彩と真潤もすくすくと成長していって、この2人の孫の成長を見守ることも、私にとってはとても有意義な時間となっていた。 私は70歳を超えた頃、腹部に違和感を感じて病院に診察してもらったところ、肝臓がんであることが発覚した。 私は入院することになったけれど、すでにステージ4相当になっていて、年齢的に快復は難しいようだった。 余命は半年と診断され、いよいよ私も最後の時を迎えるのだと覚悟を決めた。 月奈を亡くしてからの私は子育てに追われ、再婚を考える暇もなかったように思う。 しかし今となっては、再婚しなくても十分に幸せな人生を送れたと感じていた。 娘の彩帆は、母親がいなくて寂しい思いをすることもあっただろうに、私にはそんなそぶりを見せずに明るく元気にふるまっていた。 私が入院すると彩帆は毎日のように病院に面会に来てくれた。 彩帆はよく奏風君と孫の和彩と真潤を連れて病院に面会に来てくれた。 そしてとうとう私の最後の日がやってきた。
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