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異世界
外は家が立ち並んでおり、何人か歩いている。
たすけを求めよう!そんなことを考えながら歩いている人に近づいた瞬間、背筋が凍った。この人、顔がない!よく見ると歩いている人全員顔がないのだ。
「はbcふぉlvkもあj」
へ?何か話しかけてきた。顔を伏せその場を立ち去る。幸い顔無し星人はついてきていない。
路地裏に入りべたりと地面に座りこむ。ぶわっと冷や汗が滝のように流れ出した。
顔がなかった!見間違いではない、ここは自分の知っている世界ではないのか。
理解できないまま自分のおかれた状況を冷静に整理しつつ、これからのことを考える。
全く良案が思い浮かばないが、とりあえずこの地を離れることにした。
顔無し星人との接触を避けながら、遠回りしているせいか、全然進まない。
何度かひやっとする時もあったが、顔無し星人は私に興味がないのか、特別な反応はなかった。
「はぁ、はぁ、」
薬を盛られたのか、体が重い。おなかも減った。
ちょうど目の前に商店のようなものが見えてきた。
「少しならいいか」そんな考えが浮かび、商店へと足を運んだ。大丈夫、お金は持っている。
店内は薄暗く、冷蔵庫のブーンという音が響く。
店に並ぶものは元の世界と変わりない気がする。それぞれに値札もちゃんと貼ってある。
通貨単位が気になるところだ。
今後の冒険に備えパンとペットボトルドリンクをいくつか手に取り会計に向かう。
「うだおにdvpsdlcヴぁp」
出た!よく分からない言葉!レジの表記を見ると「1,001」と出ていた。
持ってきた財布の中から1,000円札のような紙幣を差出し、カウンターに置いてあるパレットの上に置いた。
「jdvsvvmws@」
何を言っているのかわからない。足りなかったのか。紙幣はこれしかない。小銭もあるが、どれも同じ種類に見える。適当に何枚かパレットの上に出すと数枚返され買い物かごを渡された。レジ横の机で持ってきた鞄にパンやドリンクを詰めて店を出た。顔無し星人結構いいやつかも?
店の前のある木製の古びた椅子に座り、買ったドリンクを飲んだ。おいしい。
パンも食べ終わった頃、バスが一台来た。
「大学病院行」
知っている単語だ。久しぶりに日本語を見た。
日本人がほかにもいるのかもしれないという期待を胸にバスに飛び乗った。
バスの中は相変わらず顔無し星人だらけで、やはり知らない言語であふれている。
外の景色を眺めながらバスに揺られるうちに寝てしまった。
ハッと目を開けるとバスはまだ走っていた。顔無し星人も増えている。大きな建物についた。
大勢降りて行ったので、行く当てのない私は一緒に降りることにした。
降車時全員が駅員の前で何かを機械にかざしている。ピッピッという音が連続する。
ついに自分の番が回ってきた。
再び財布を手に取りテキトーに小銭を機械に投入した。特に反応もなかったのでうまく支払えたのだろう。
バスを降りて目の前の巨大な建物に入り大量に並ぶ椅子に座った。
やはりこの中も顔無し星人だらけだ。
座ると疲れがどっと出てきた。
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