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旅の始まり
冷たい風が肌を突き刺す。不快に感じ目を開けるとそこは見知らぬ部屋だった。窓はあいており、外はまだ暗い。脳がフル回転する。明け方か、夕暮れか。ここはどこだ?
昨夜の記憶を辿ろうとするも、もやがかかったように思い出せない。薬を飲まされたのか?不安が高まる。誘拐?監禁?犯罪?いくら考えても何もわからない。
しばらく考えたが、進展はなさそうなので、とりあえずこの部屋を出ることにした。幸いドアにカギはかかっておらず、すんなりとリビングにたどり着いた。
「なにか、見覚えがあるな」そんなことを考えながら部屋を物色してみる。
特に変わったものもなく、犯人らしき人影もない。
「ブロロロロロロロッ」
「カチャカチャカチャ」
玄関の方から音がする。
再び「ブロロロロロロッ」といって何かが去って行った。そろり、そろりと近づく。
玄関のノブに手をかけ、鍵のツマミを回して外へ出た。誰もいない。というかまだ暗い。
あたりを見回すと足元に箱が置いてあった。なんだこれは?
箱を開けると、小さなビンに液体が入っている。
水?いやちがう、その液体はよく分からない色をしていた。
リビングに戻り、適当な服と荷物を見繕い外に出ることにした。このままでは犯人が帰ってくるかもしれない。幸い財布は机に置いてある。犯人は相当間抜けなのか?ドアの鍵といい財布といい、監禁や誘拐とは思えないずさんさだった。
玄関で自分に合う靴を履き、外へ出た。
もうだいぶ明るくなっていた。
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