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細々と営業を続ける店が、通りに店を出しては並べるのだ。
肉屋はフライドポテトとやらを、玩具屋はかき氷などを。
通りに並ぶ店の中には、街中から出張して出店する者もあると耳にした。
そのせいでより人が集まりやすいのだろう。
おかげで捗るというものだ。
「今宵の狩りは豊作の予感がするの」
男が手の平を上向かせると、焔が揺らめき始める。
そこへ、ほお、と息を吹き込んだ。
息吹が焔をまとい、火の粉となりてぽわと浮かぶ。
それはさながら蛍火のようで。
「さあ、行け。子を惑わせ、誘え」
男が手を振るえば、蛍火はゆうらりと通りへ向かって飛んで行く。
「狩りの時間ぞ」
男がうっそりと笑った。
暗がりで獲物をおびき寄せるには、灯りで惑わせ誘うもの。
と。突として男が身体をくの字に曲げた。
げほごほと、鈍い咳が夜に浸る雑木林に響く。
やがて咳の波が引いた頃に、男はやっと身を起こした。
その際に己の身体が透けていることに気付く。
「……私も弱くなったものよな。これしきのことで姿形が保てなくなるとは」
ぽちゃんと池で何かが跳ねた。
男は口に着物の袖口をあて、また軽く咳き込む。
これは病などでなく、弱体していく身体の歪みから生ずるもの。
ああ、口惜しい。男は唇を噛む。
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